MITSUBISHI GALANT-Λ
(AOSHIMA 1/24)


 実車は3代目のギャランとして、1976年に4ドアセダンの「Σ(シグマ)」に半年遅れで登場した、スタイリッシュなアメリカンスタイルの2ドアハードトップクーペです。このラムダが、北米では当時、クライスラーの販売網で発売の数年前(1972年)に開催された冬季オリンピックの開催地にちなんで「プリムス・サッポロ」の車名で販売されていたのは、今回の製作の上ではじめて知りました。私は当時小学3年生でしたが、同時期に発売されていたマツダ・コスモ共々、結構好きなクルマでしたね。
 アオシマは2002年に倒産した同じ模型メーカー「イマイ」の金型を引き取り、それらのいくつかを自社製品として再生産を行っていて、このギャラン・ラムダもそんな製品の1つです。もともとが実車登場と同時期に発売されたキットですから、その構成もモーターで走行することを前提にしたものでして、(今回の製品ではモーター等は入っていませんが)現在の繊細なモールドで成型された製品を見慣れた目で見ると少々辛いところもあります。しかし、最近のいさかかバラエティ不足の自動車模型のラインナップを考慮すれば、このキットの再生産を決断したメーカーの英断に私は感謝したいです。
 しかし、今回の製品の箱絵は実車の写真が用いられているが、そこに掲げられたクルマのグレード(GSL?)とキット化されたグレード(スーパーツーリング)が異なり、バンパーの形状等結構異なる点があります。旧車の部類になると資料を探すのに苦労することが多々ありますので、製作の際の第一級資料となる箱絵には充分注意を払っていただきたいです。(もう少しでバンパーを切り離して整形しかけたのはここだけの秘密...)
 製作に関しては、まずボディについては前述のとおり元が古い製品ですから、全体のラインは素晴らしいものの、成型のずれや金型の痛みによる傷が所々にみられるので、やすりやパテを使ってそれらを消していきました。また、ドアやボンネットのパネルラインもかなり寝ぼけているので、瞬間接着剤+硬化剤スプレーで一旦埋めてしまい、再度Pカッター等で彫り直しました。そして各部にモールドされたバッチ類もあまり出来がよろしくないので削り落とし、自作デカールに置き換えるました。
 シャシーはモーター走行を前提としたもので、回転軸やギア等を出すための切り欠けが各所にあるのでそれらをプラ板で塞いでいき、さらに車体先端部のホイールアーチがまったくなかったのでそれをプラ板で追加しました。また、後席部分に電池ボックスがあり、完璧なディスプレイモデルを目指すならそれを切り離して後席を新造する必要がありますが、編集部からの指示もあり今回は止めておきました。そして、ボディと合わせて仮組みしてみるとタイヤのトレッドが狭く感じましたので、前後輪ともプラ板を用いて左右それぞれ2ミリ程拡げることとしました。
 室内のパーツは後席が上げ底なものの、モールドは良好できちんと塗り分ければ現在のキットと比べてもなんら遜色はないと思います。(実際完成させてみると、後席の上げ底はさほど気にはなりません)但し、ドアの内張りのパーツがないので、今回はプラ板でそれらしいものを新造しました。また、室内のアクセントとして、天井から下がるシートベルトの吊金具をプラ板とエッチングパーツで製作し、シートベルトは色画用紙を用いて再現しました。そして、下げきったサイドウィンドウの端部を塩ビ板で再現しました。
 塗装はサフェーサーで下地を作り、メタリックブラウンを調色してピースコンで吹きつけ、デカールを貼った後フィニッシャーズのオートクリアーを数回に分けて吹き、乾燥後研ぎ出しました。また、リアクォーター直後のロールバーガーニッシュやドアサッシ等のメッキの部分はクレオスのクロームシルバーを用いました。その他パーツについては形状も良く、ワイパーはモデラーズのエッチングパーツに置き換えた以外はキットのパーツをそのまま使用しております。
 素性が良いだけに、手を加えるときちんとそれに答えてくれるキットだと思います。模型好きの人に是非一度腕試しとして挑戦していただきたいものです。